思い出せない絵本の話

小さい頃に近所の人にもらった絵本が忘れられません。くれたのがタカキベーカリーで働いているおばさんだったから、アンデルセンのメルヘン文庫かな、ということだけわかっています。引っ越すときにお母さんが捨ててしまったみたいです。

短編集なのですが、覚えている話はひとつだけです。

 

女の子と男の子が木の下で再開の約束をして、手作りの木苺の指輪をふたりで埋めました。何年かあとに大人になった女の子がひとりでその木の下の土を掘ると、ルビーの宝石の指輪が出てきました。

 

あらすじはたしかこうでした。子どもの頃は、魔法で指輪が変わったんだ!と思っていました。でも最近は、大人になった男の子が約束を果たすためにルビーの指輪を埋めにきたんじゃないかなと思います。それはそれでロマンチックですよね。

またいつかちゃんと読んでみたいなあ。

わかるわかるわかるいいねRT

共感ってすごく気持ちよくないですか?

それ!心の奥底で思ってたんだよ兄弟!

かゆいところに手が届く!RTといいねの嵐!

私も好きなTwitterアカウントを見つけてはフォローする毎日を送っています。

でも、それってちょっと怖いですよね。

 

もやもやを言語化しなくても誰かが代弁してくれるから、自分で考えて文章を組み立てる力が急激に弱まってきている気がします。

そうすると、誰かの言葉が自分の頭の中身そのものになり変わって、自分の考えの細かな部分がなくなりはしないでしょうか。

共感するとスッキリするからその先や他の意見について考えないってこと、ありませんか?私はよくあります。

するとだんだんと人間の考え方のバリエーションが減ってきて全人類の脳みそがおてて繋いでまあるくひとつに!!…なんてことになりませんかね。ならないか。

好きだった本の話

私は小説を読むのが趣味で月に何冊か読みます。昔ほどたくさん読むわけではないのですが、年齢を重ねるにつれて好きな本の傾向が変わってきているような気がします。特に、高校時代に大好きだった本を一人暮らしの部屋で読んだら受けつけなかった、ということが大学に入って何度かありました。

小中で好きだった本はほとんど読み返していないのでなんとも言えませんが、十代半ばの感性にはその年代特有のものがあるのかもしれません。そのうちの1冊についてお話しようと思います。

 

高校生の頃は小川洋子さんが大好きで、あの閉じられた空間ならではの陶酔や、どこか浮世離れした登場人物たちに心惹かれていました。

ところが大学生になって、いちばんのお気に入りだった『薬指の標本』を読み返したら、数年前ほど魅力を感じなくなってしまっていたのです。

 

この本のあらすじを簡単に説明しておきます。

清涼飲料水の工場で働いていた主人公は機械の事故で薬指の先をなくして仕事を辞め、街外れにある標本室の事務員として働きはじめました。彼女はそこで出会った標本技術士に靴をプレゼントされ、それ以降なぜか彼から離れられなくなってしまいます。そして、近くに住むおばあさんから前の事務員もその前の事務員もいつのまにか姿を消したということを教えられます。

 

舞台設定もキーアイテムとなる靴も、どこか作り物めいていて独特の雰囲気がありますよね。ちなみにこの小説はフランスで映画化されています。

 

16歳の私と今の私はたいして変わらないのですが、大きな違いは恋をしているかどうか、そして永遠を信じられるかどうかだと思います。

この話の中で「標本」は思い出を永遠に閉じ込める役割を果たしています。そして主人公の薬指の思い出は、彼女とは精神的にも肉体的にも切っても切れない関係にあって、薬指を標本にするということは、彼女自身が永遠に囚われることを意味しています。

今となってはグロテスクにすら感じられるこの構図は、片想いをしている頃の私にとってはこれ以上ないほど魅力的に見えました。

しかし、高校を卒業して男性とお付き合いをしてみると、どうやら永遠も閉じられた世界も存在しないようだと気づき始めました。どうしたって噂話は広まるし、ちょっとしたきっかけで人と人は離れてしまうようなのです。

11歳になっても魔法学校からの手紙は届かないし、サンタクロースはどこかに行ってしまったし、永遠の恋もないんだと思いました。

いつかもっと大人になったら、大好きだったこの小説をファンタジーとして楽しめる日が来るのかもしれません。でも、それってちょっと寂しい気もします。

どうしてLINEの返信をしないの?

みなさんはLINEやメールなどの返信は早いほうですか?私はとてつもなく遅いです。1週間以上ほったらかしにすることもザラにあって、実は今も2人分ためています。返事はしないくせにTwitterでは呟いているじゃないか、意味がわからない。失礼だ。そう思われる方もいるかもしれません。おっしゃる通りです。

では、LINEをなかなか返さないのはなぜなのか?

自分でも不思議なので少し考えてみました。

 

私の場合は「なかなか返事をしない」≒「既読をつけられない」という風になっています。

既読をつけられないものの8割を占めているのが個人LINEでの遊びの誘いです。

基本的に私は人と会うよりもひとりでいる方が気が楽なので、よほど仲がよかったり、行く場所に興味がある場合を除けばすべての誘いを断りたいと思っています。

何か用事があれば一言謝ってすんなり断れますが、その日が暇で、それでも行きたくないときに返事に窮して既読をつけないパターンが非常に多いです。

そして勝手なことに、返事をしないことに対する罪悪感でかなり精神的に追い詰められるのです。

ああ…早く返信しないと…でも…。

お盆が開けたのに夏休みの宿題が手つかずだ…

というときの気持ちとよく似ていると思います。

嘘でも返事をすればいいのかもしれませんが、それもなんだかはばかられるし、かといって遊びに行く気分じゃないからとは口が裂けても言えません。

というのが私の返信が遅いざっくりした理由です。

 

ここまで書いて自分勝手さに驚きました。

嫌われたくないけど人と会って気を遣いたくない

という私の根っこの性格が色濃く出ているなと少し暗い気持ちになりました。

あくまでも私の話ですので、LINEを返さない理由は他にもいろいろあるのだと思います。

ぜひコメント欄で教えていただけるとありがたいです。

とりあえず溜めてる分にスタンプでも送っとこう…。